マットレスに付いてしまった血のシミ、特に時間が経ったものは「もう落ちない」と諦めてしまいがちです。シーツは洗えても、マットレス本体の汚れとなると、対処法に困るケースは少なくありません。
しかし、時間が経ってしまった血液のシミでも、自宅にある身近なアイテムで綺麗にできる可能性があります。この記事では、血液汚れを落とす基本ルールから状況別の具体的な手順までを解説します。
付いたばかりの経血の応急処置、乾いてしまった頑固なシミに有効な重曹やオキシドールの使い方、そして失敗しないためのコツと今後の予防策まで、詳しく見ていきます。正しい知識で、大切なマットレスをきれいにすることが可能です。
マットレスの血の落とし方【状況別】身近な物でできる簡単ステップ
マットレスの血液汚れは、付いてからの時間や状況によって対処法が異なります。ここでは、ご家庭にある身近なアイテムを使った掃除方法を具体的なステップで解説します。
なお、洗剤や薬品類を使用する際は、素材への影響や人体への安全性に配慮し、必ず製品の指示に従ってください。(参考: 日本石鹸洗剤工業会)
特に、異なる種類の洗剤を混ぜると有毒なガスが発生する危険があるため、絶対に避けるべきです。(参考: 東京消防庁) 正しい手順で、大切なマットレスをきれいにしましょう。
基本の注意点・お湯はNGで叩くように落とす
マットレスの血液汚れ・基本のルール
❌ やってはいけない
お湯を使う: 血液が固まり落ちなくなる
こする: 汚れが広がり、奥に染み込む
✅ やるべきこと
冷水を使う: 血液を固まらせない
叩いて移す: タオルに汚れを吸わせる
マットレスの血液汚れを落とす上で、まず守りたい基本が2つあります。それは「お湯を使わないこと」と「こすらずに叩くこと」です。血液の主成分であるタンパク質は、熱が加わると固まってしまう性質を持っています。
お湯をかけてしまうと、この作用によって汚れがマットレスの繊維に固着し、シミとして定着してしまうのです。そのため、掃除の際は必ず30℃以下の水かぬるま湯を使用するのが鉄則です。
また、汚れを見つけるとついゴシゴシとこすりたくなりますが、これも避けましょう。こすることで汚れが周囲に広がり、さらに繊維の奥深くへと染み込んでしまいます。シミを広げず、かつ生地を傷めないためには、清潔な布やタオルを使い、シミの外側から中心に向かって優しくトントンと叩きながら、汚れを布に移し取っていくイメージで作業するのがコツです。この基本を押さえるだけで、その後の作業効率が大きく変わります。
血液の汚れには、絶対にお湯を使わないでくださいね。タンパク質が固まって、シミが取れなくなってしまいますから。
そうなんですね！ついお湯の方が汚れが落ちそうだと思ってました。危ないところでした！
付いたばかりの血のシミ・まずは水と中性洗剤
マットレスに血液が付いてから時間が経っていなければ、比較的簡単な手順で落とせる可能性があります。発見したらすぐに行動することが、シミを残さないための何よりのポイントです。まずは、乾いたタオルやティッシュペーパーを使い、血液の水分をできるだけ吸い取りましょう。この時も、こすらずに上から優しく押さえるのがコツです。
次に、水で濡らして固く絞った布で、シミの外側から中心に向かって叩き、汚れを布に移していきます。水だけで落ちない場合は、食器用の中性洗剤を数滴、濡らした布に含ませてから同様に叩いてみてください。中性洗剤が血液の成分を分解し、汚れを浮き上がらせる助けとなります。
汚れが目立たなくなったら、今度は洗剤が残らないよう、きれいな水で濡らした布で何度も叩き拭きをします。最後に、乾いたタオルで全体の水分をしっかりと吸い取り、乾燥させれば完了です。
時間が経った血のシミ・重曹ペーストで浮かせる方法
「気づいたときにはもう乾いていた」そんな血液のシミには、掃除で役立つ重曹を使いましょう。血液は酸性の汚れであるため、弱アルカリ性の性質を持つ重曹が中和して汚れを分解し、浮かせてくれる効果が期待できます。この方法で必要なのは、重曹と水だけです。
まず、重曹と水を2:1程度の割合で混ぜ合わせ、ペースト状にします。このペーストを、シミを完全に覆うようにスプーンの背などで塗り広げてください。そのまま30分から1時間ほど放置すると、重曹が汚れをじっくりと分解します。
時間が経ち、ペーストが乾いてきたら、使い古しの歯ブラシなどで優しくこすり、ポロポロと剥がし落とします。最後に、水で濡らして固く絞った布を使い、残った重曹と浮き上がった汚れをきれいに拭き取ります。念のため、作業前にはマットレスの目立たない場所で試して、生地への影響がないか確認するとより安心です。
頑固なシミに・セスキ炭酸ソーダとオキシドール活用術
重曹を使ってもなかなか落ちない、しつこく固まった頑固な血液シミには、より強力なアイテムを試してみましょう。一つは、重曹よりもアルカリ性が強いセスキ炭酸ソーダです。水500mlに対してセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯溶かしたものをスプレーボトルに入れ、シミに直接吹きかけます。5分ほど放置した後、清潔な布で叩くようにして汚れを拭き取ってください。
もう一つの選択肢が、消毒液として知られるオキシドール（過酸化水素水）です。オキシドールにはタンパク質を分解し、漂白する作用があります。綿棒や布に少量含ませてシミの部分を直接叩くと、シュワシュワと泡が出て汚れを分解してくれます。
泡が出なくなったら、水で濡らした布で成分が残らないよう丁寧に拭き取りましょう。ただし、これらの方法は洗浄力が高い分、マットレスの素材によっては色落ちや生地を傷める原因にもなります。使用する前には、必ずヘッドボードの裏側など目立たない部分でテストを行い、問題がないことを確認してから自己責任の上で作業してください。
意外なアイテム・メイク落としシートやコンタクト洗浄液
もしもの時に備えて、血液汚れの応急処置に使える意外なアイテムを知っておくと便利です。例えば、普段メイクを落とすのに使っているメイク落としシートが役立つことがあります。特にオイルフリータイプのシートに含まれる界面活性剤が、血液の汚れを浮かせる効果を発揮する場合があります。
使い方は簡単で、シートをシミに当てて、上から優しく叩くだけです。ただし、オイル成分が強いものだと、かえって油ジミの原因になるため注意が必要です。また、コンタクトレンズの洗浄液も有効な場合があります。これは、洗浄液に含まれるタンパク質分解酵素が、血液の主成分であるタンパク質を分解してくれるためです。
洗浄液を少量シミに垂らし、少し時間をおいてから布で叩き拭きします。どちらの方法も、あくまで汚れが付いてすぐの応急処置として考え、本格的な掃除は別途行うのが望ましいです。使用後は水拭きで成分をしっかり拭き取ることも忘れないようにしましょう。
漂白剤(ハイター・オキシクリーン)は最終手段
あらゆる方法を試しても血液のシミが落ちない場合、最後の手段として漂白剤の使用が頭に浮かぶかもしれません。市販の漂白剤には、衣類用の酸素系漂白剤（オキシクリーンなど）と、より強力な塩素系漂白剤（ハイターなど）があります。
酸素系漂白剤は比較的素材に優しいとされていますが、それでもマットレスの生地を傷めたり、色柄物を色落ちさせたりするリスクはゼロではありません。特に、刺激が強く脱色作用も非常に強力な塩素系漂白剤の使用は、マットレスを白く変色させてしまう可能性が極めて高いため、基本的には避けるべきです。
もし漂白剤を使用する場合は、必ず「酸素系」を選び、製品の指示に従って水で薄めてから使います。そして、ヘッドボードの裏側など、万が一失敗しても目立たない場所で必ずパッチテストを行ってください。あくまで自己責任の上で行う最終手段と位置づけ、安易な使用は控えるのが賢明です。
掃除後の重要工程・しっかり乾燥させてカビ予防
血液のシミをきれいに落とせても、そこで安心してはいけません。掃除の最後の仕上げとして、マットレスを「しっかりと乾燥させる」という非常に重要な工程が残っています。掃除に使った水分がマットレスの内部に残ったままだと、そこが湿気の温床となり、カビや雑菌が繁殖する絶好の環境を作り出してしまいます。
せっかく汚れを落としても、不衛生な状態になっては意味がありません。まずは、乾いた清潔なタオルを何枚か使い、水分が残っている部分を力強く押して、できる限りの水分を吸い取ってください。
その後、部屋の窓を開けて風通しを良くし、扇風機やサーキュレーターの風を直接当てる、もしくはドライヤーの冷風を使って時間をかけてじっくりと乾かします。熱風はマットレスの素材を傷める可能性があるので避けましょう。表面だけでなく、内部まで完全に乾いたことを確認して、ようやくすべての作業が完了です。
マットレスの血の落とし方で失敗しないための知識と今後の予防策
自分でできる限りの対処をしても、残念ながら血液のシミが完全に落ちないこともあります。そんな時のための選択肢と、今後同じ失敗を繰り返さないための予防策を知っておくことで、安心してマットレスを使い続けることができます。
どうしても血が落ちない時の3つの選択肢
自力で落ちない…どうする？3つの選択肢
✨ プロのクリーニングに依頼
専用機材で根本から洗浄。衛生的で安心。
→ こんな場合に: 高価なマットレス、徹底的にきれいにしたい時
🛌 マットレストッパーを試す
シミを隠し、寝心地も改善できる場合がある。
→ こんな場合に: 低コストで見た目と気分を一新したい時
♻️ マットレスの買い替え
寿命（5年以上）なら、衛生面と寝心地をリセットする好機。
→ こんな場合に: へたりや寝心地の悪化も感じている時
いろいろな方法を試しても血液の汚れが残ってしまった場合、無理に作業を続けるのは避けたほうが賢明です。強力な洗剤や漂白剤を自己判断で使うと、マットレスの生地を傷めたり、変色させてしまったりする危険があります。
シミが落ちないからといって、マットレスがもう使えないと諦める必要はありません。衛生面や見た目の問題を解決し、快適な睡眠環境を取り戻すための選択肢はいくつか残されています。ここでは、セルフケアで限界を感じた時に検討したい3つの具体的な方法を紹介します。
それぞれのメリットや状況に応じた最適な選択を考えることで、納得のいく解決策が見つかるはずです。まずは落ち着いて、どの方法が自分にとってベストかを見極めていきましょう。
選択肢①プロのマットレスクリーニングに依頼する
家庭での対処が難しい頑固な血液のシミには、プロのクリーニングサービスに依頼するのが最も確実な選択肢の一つです。専門業者は、マットレスの素材や汚れの状態を的確に判断し、専用の機材と特殊な洗剤を使用して、繊維の奥深くに染み込んだ汚れを根本から洗浄します。
自分で行う掃除では難しい、血液だけでなく汗や皮脂、ダニやその死骸といったアレルゲンまで除去できるため、衛生面が大幅に向上する点も大きなメリットです。特に、購入して間もないマットレスや、高価な製品で失敗したくない場合には、専門家の技術に任せるのが安心です。
料金はかかりますが、買い替えるよりは安く済み、マットレスの寿命を延ばすことにも繋がります。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や口コミを比較検討してから依頼するとよいでしょう。
選択肢②買い替えより安いマットレストッパーを試す
マットレスのシミは気になるけれど、クリーニングや買い替えは費用的に避けたい、という場合に有効なのがマットレストッパーの活用です。マットレストッパーは、現在使用しているマットレスの上に敷く薄いマットレスのことで、シミを物理的に隠すことができます。
これにより、見た目の問題を即座に解決できるだけでなく、製品によっては寝心地を改善する効果も期待できます。例えば、少し硬めの寝心地にしたい、あるいは体圧分散性を高めたいといった要望にも応えてくれます。
価格帯も数千円からと、マットレスを丸ごと買い替えることに比べれば非常に安価です。あくまで対症療法ではありますが、シミのストレスから解放され、かつ睡眠の質を向上できる可能性がある、コストパフォーマンスの高い選択肢といえるでしょう。
選択肢③マットレスの買い替えを検討する
もしマットレスを5年以上使っているなら、買い替えの良いタイミングです。血液のシミが、そのきっかけになるかもしれません。マットレスは消耗品であり、長年の使用で内部のスプリングやクッション材は確実に劣化しています。
へたりや歪みが生じると、体を正しく支えられなくなり、睡眠の質が低下したり、腰痛や肩こりの原因になったりすることもあります。また、見えない内部には湿気や汚れ、ダニなどが蓄積している可能性も否定できません。
血液汚れが落ちないという問題だけでなく、衛生面や睡眠の質全体を見直す機会と捉えることができます。新しいマットレスにすることで、心機一転、清潔で快適な寝室環境を手に入れることができます。長期的な視点で見れば、健康への投資として非常に価値のある選択です。
今後のための予防策・防水シーツや敷きパッドが必須
一度マットレスの汚れで大変な思いをしたら、二度と繰り返さないための予防策を講じることが何よりも重要です。最も簡単で効果的な方法は、防水機能を持つ「マットレスプロテクター」や「防水シーツ」を必ず使用することです。
これらは、シーツの下に敷くことで、生理の経血や飲み物、汗などの液体がマットレス本体に染み込むのを物理的に防いでくれます。最近の製品は、防水性を持ちながら通気性にも優れたものが多く、蒸れにくく寝心地を損なわない工夫がされています。
その上に通常の敷きパッドやシーツを重ねることで、普段通りの快適な環境を保てます。急な生理などで防水シーツが手元にない場合は、ひとまずバスタオルを腰の下に敷くだけでも、汚れが直接マットレスに付着するのを防ぐ一定の効果が期待できます。
生理中の不安を減らす・洗えるマットレスという選択肢
特に生理中の経血漏れに対する不安が大きい方には、汚れても家庭で丸洗いできるタイプのマットレスを選ぶという選択肢もおすすめです。一昔前は、マットレスは洗えないのが常識でしたが、近年では技術の進歩により、中材まで水洗いが可能な製品が登場しています。
主にファイバー素材や、一部の特殊なウレタン素材を使用したマットレスがこれにあたります。これらの製品は、カバーだけでなく、マットレス本体にシャワーで水をかけて洗い流すことができます。
万が一、血液で汚れてしまっても、自宅で簡単にお手入れができるという安心感は、何物にも代えがたいメリットです。汚れだけでなく、汗やホコリ、ダニなども定期的に洗い流せるため、常に清潔な睡眠環境を保ちたいと考える方にとっても最適な選択肢といえるでしょう。
マットレスの血の落とし方に関するよくある質問(Q&A)
- Q
マットレスについた経血はどうやって落とすの？
- A
基本は「水でたたく」ことです。まず乾いたタオルで水分を吸い取り、その後、冷たい水をつけたタオルでシミをたたき、汚れを移し取ります。お湯は血液を固めてしまうので使わないのがコツです。
- Q
時間が経ってしまった血の染み抜き方は？
- A
時間が経ったシミには、酸素系漂白剤を使うのが有効な方法の一つです。粉末タイプを少量のお湯で溶かし、ペースト状にしてからシミに塗ります。5分ほど置いた後、濡れたタオルで丁寧に拭き取ってください。
- Q
オキシクリーンで血は落ちますか？
- A
はい、効果が期待できます。オキシクリーンは酸素系漂白剤の一種です。ぬるま湯で溶かした液をタオルにつけ、シミの部分をたたくようにして使います。マットレスを傷めないよう、目立たない場所で試してから使うと安心です。
- Q
布団やシーツについた血も同じ方法で落とせますか？
- A
基本的な落とし方は同じです。シーツのように丸洗いできるものは、シミ抜きをした後に洗濯機で洗うとよりきれいになります。洗えない布団の場合は、マットレスと同じように、水分を使いすぎないよう注意しながら丁寧にたたき洗いをしてください。
マットレスの血の落とし方の要点まとめ
最後に、マットレスの血を落とすための重要なポイントをまとめます。これらの要点を押さえておけば、いざという時に慌てず、冷静に対処できるはずです。大切なマットレスを長く清潔に使うために、ぜひ参考にしてください。
マットレスに突然の血液シミが付いてしまうと、どうしていいか分からず焦ってしまうことがあります。この記事では、新しいシミから時間が経った頑固な汚れまで、状況に応じた具体的な対処法を詳しく解説しました。
重要なのは、慌てずに汚れの性質に合った正しいアイテムを選ぶことです。これにより、突然のトラブルにも冷静に対処することが可能になります。
そして、一番の安心は「汚さない工夫」です。防水シーツなどを上手に活用すれば、シミの不安そのものを手放せます。この記事が、マットレスを長く清潔に保ち、毎日を気持ちよく過ごすための一助となれば幸いです。まずはできることから、一つずつ試してみましょう。
